あなたの会社には退職一時金制度はありますか
年金記事第2弾です。
みなさんは働いてる会社の退職一時金制度を把握していますか?
制度は会社によってさまざまで、場合によっては実施していない会社もあります。
一言、退職一時金制度といっても、会社が独自に設定している退職一時金制度や信託銀行等の金融機関に委託をして実施してい企業年金制度があります。(制度毎の違いは、また別の記事でお話します)
今回はこの退職一時金制度と制度をとりまく環境変化についてみていきます。
自分の会社の退職金制度について知るきっかけとしていただければ幸いです。
退職一時金ってどんなもの?
企業年金という言葉にあまりなじみがない方でも、「退職金」という言葉はみんなよく知っているかと思います。
退職一時金制度はその名前の通り、退職を支給の事由としているため、働いている間は支払いが発生せず、退職時に大きな支払いが行われることになる制度のことです。
仮に「退職一時金額=月給×勤続年数」という制度があるとすると、月給50万円が35年続いた後に退職した人の場合、50万円×35年=1750万円が支給されます。
退職一時金を取り巻く環境の変化
日本における伝統的な給付設計をみると、短期勤続者を無給付にしたり、定年前の退職者に対しては自己都合退職減額率というものを乗じて支給額を少なくしたりしている設計が多くなっています。長期勤続者や定年退職者を優遇する設計となっており、熟練の従業員定着のための労働管理上のインセンティブとして活用されていたんですね。
企業にとって退職一時金は支払い額が高額で資金繰りの問題もあるため、引当金というものを積んで支払い準備をします。引当金は少し難しいのでここでは、後々に支払う可能性の高いお金を事前に認識し、企業内にお金を貯めておくこととざっくり理解しておいてください。
過去にはこの引当金のうち一定額を損金算入することができる仕組みがありました。
損金とは法人税を計算するときに、かかる税金を減らせるものです。つまり企業は退職一時金の準備をすることで、支払う税金を減らすことができたんです。
1952年当初は期末要支給額(仮に今退職した場の支給額)の100%を引当てることができました。それが56年には50%になり、80年には40%、2003年には20%、その後期間をかけて廃止されてしまい、企業にとっての税制的なメリットは消失してしまいました。
この税制上のメリットで残ったお金は、設備投資などに使われ成長期の企業の事業資金の確保に大きな役割をはたしていました。
これも退職一時金が普及した大きな要因でした。
このような理由で日本においては退職一時金制度が非常に普及しています。
その実施割合は企業年金に移行したものも含めると約75%です。
(出典:厚生労働省)
一方でその実施割合の変動を見てみると、年々低下傾向にあることがわかります。
退職一時金や企業年金をやめてしまう会社が増えている、もしくは制度自体を持たない新興企業が増えているということを示しています。
企業にとっての退職一時金制度を持つメリットが低下しているためであると思われます。
今後も退職一時金制度を実施する企業は減少していくことが予想されます。
退職一時金は老後の生活に大きく影響するお金ですから、これを機に自分の会社の実施状況を確認したり今後の動向に注目していただければ幸いです。