ADHDが銀行で活躍するために必要な5つのこと【ADHDの元銀行員が教えます】
ミスが許されずマルチタスクが求められる銀行業務は、ADHDにとって困難を極めます。
ADHD当事者の私も銀行での業務には非常に苦戦しましたが、今回お話する点を意識して働くことで何とか新卒より6年間勤め、法人営業時は社内表彰を受けボーナス評定で最高評価を得ることができました。(その後、信託銀行は退社しています)
今回はADHD銀行員の方向けに、ADHDが銀行で活躍するために必要なことをお話します。
本記事はこんな人におすすめです。
・銀行で上手くいかずに悩んでいるADHDの方、ADHDグレーゾーンの方
・ADHD、ADHDグレーゾーンで、これから銀行で働く方、また働くことを検討している方
✔本記事の内容
1.ADHDにとって銀行は辛い業務が多いことは事実
部署によって多少の違いはあれど、銀行での業務はマルチタスクでかつミスが許されないものが非常に多いです。
これらはADHDが最も苦手とする作業ですね。
また億単位でお金が動く指図をすることも少なくなく、精神的負担も大きいです。
私は投資業務を担当していたので、一度の指図で数百~数千億円のお金が動いていましたので、決裁のクリックをするだけで非常に緊張していました。
ADHDが銀行で活躍するためには、これらマルチタスク対応とミス削減を如何にするかが問題になってきます。
非常に安定していて、良くも悪くもまだまだ保守的な風土が残っていますので、それらが好きだという方はADHDであっても活躍していくことがきっとできます。
2.ADHDが銀行で活躍するために必要な5つのこと(完璧であることは諦めろ!)
銀行はADHDにとって困難な作業だらけで、活躍することなんてできない、と思ってしまっているかもしれませんね。
そんなことはありません。
今からお話しする5点を意識して行っていけば、かなり業務が楽になると思います。
コツは、完璧であることを諦めることです。
ADHDが世間のイメージする何でも完璧にこなす銀行員になるのは、非常に難しいです。
目指すのは、
少し変わってるけどできるやつ
です。
2-1.絶対に間違ってはいけない業務を把握する
銀行はミスの許されない業務が多いのは周知の事実ですが、その中で優先順位をつけてしまい致命的なミスだけは絶対に避けるようにします。
全部ミスしたらダメに決まってるだろ!というお叱りの言葉が聞こえてきそうですが、大量の業務を行う中で、ADHDは頭が混乱してどうしてもミスしてしまう時が合ったりします。
当然全業務間違えないようにやるんですけど、以下の順で優先順位をつけて、やり忘れしないかつ間違えないようにします。
【優先順位1】お金が動く決裁(死んでもミスしない!)
【優先順位2】顧客向け資料(大きなミスはしない)
【優先順位3】社内資料(課長頼み)
特にお金関連は取り返しがつかないので、絶対に忘れないかつ間違えないようにしましょう。
私はお金関連の決済に集中力のほとんどを使っていました。
お金関連に集中力の7割
顧客向け資料に集中力の2割
社内資料に1割
って感じです。
銀行では一人で資料等を観ることはなく、必ず課長等が再鑑をしますので、社内資料等の間違えなら後で何とかなります。
2-2.PCのスケジュールツールに作業を全て書く
アウトルック等会社で使っているPCのスケジュールツールにその日行う作業名まで、全て記載してしまいましょう。
仕事が始まる前の朝6時くらいのスケジュールに箇条書きで、作業が発生する度にどんどん記載していきます。
スケジュールが作業だらけになると思いますが、気にせず書いて、作業終了毎に消していきましょう。
営業の場合はアポのみ色を変えてスケジュール登録すれば、訪問忘れがなくなるのでおすすめです。
ノートとか手帳とかに作業やスケジュールを書いたりして管理することは諦めて良いです。
綺麗なメモなんて取れない、そんなことに使えるほどADHDのワーキングメモリは大きくありません。
そもそもノートも手帳もすぐに見つからなくなってしまいますからね・・・
作業予定の管理をPCのスケジュールツールのみに限定することで、作業漏れとノート紛失を同時に防ぐことができます。
2-3.愛嬌(ミスを許されるキャラ付け)
致命的なミスは死ぬほど集中して避けていても、小さなミスは山ほど発生してしまいます。
この小さなミスはADHDの宿命なので、できる限り周りに怒られないようにし、かつ自分で気にしすぎないようにする必要があります。
小さなミスは起こってしまうものとして、それが許されやすい環境つくりをすれば非常に精神的に楽になります。
愛嬌=かわいらしく憎めないこと、です。
変に演技をする必要はなく、以下を意識して前向きでいれば、憎めない可愛い同僚・部下として接してくれる人は増えてくると思います。
・ミスした際の報告・相談は確りと行う
・会社の目標達成へのやる気は高い
・ミスをしても前向きで明るい(一番難しいですが、かなり重要です)
あなたの上司も同僚も社員である前に一人の人間なので、感情であなたへの態度が変わります。
暗い人よりも明るい人の方が接していて気持ちいいですよね!
ADHDはどうしてもミスが多いとあなたの中で割り切って前向きになれば、周囲の人の態度も変わってきます。
ただしミスに対して投げやりになるのではなく、カバーリングは確りと行いましょうね。
また、この後お話しする資格取得等、会社が推奨する自己研鑽を頑張っていることは周囲の人に好印象になるので、ミスをした際に許されやすくなります。
(もちろんそのために頑張るのではありませんが笑)
2-4.資格取得
銀行では資格取得が非常に重要です。
(指定の資格がなければ、)
資格と仕事の優秀さは別であるという意見は多く、私も実際にイコールではないと思います。
社会全体で見れば、資格を取ってもあまり評価されない会社も多いのかもしれません。
ただし、銀行は資格が想像以上に評価される世界です
宅建、証券アナリスト等のある程度の難易度の資格を取っていれば、頭が良いイメージを勝手に持ってくれていることも多いです。
また営業の場合、証券アナリストと名刺に書けば顧客が難易度以上に良いイメージを持ってくれることも多く、かなりコスパが良いです。
資格を取得することで社内、顧客共にイメージが良くなりかなり仕事がやりやすくなります。
✔信託銀行で必要な資格
2-5.1つのことを突き詰める
何か突出した良いものを持っている人は、その人全体のイメージも良く感じられます。
れっきとした心理学の用語で、ハロー効果と言います。
弁護士や医師等の難関資格を持っている人は、頭が良いイメージが強いので、仮に事務が全くできなかったとしてもマイナスのイメージはほとんどないのではないかと思います。
また歌手等一芸に秀でた人は社会不適合な考えでも、全くマイナスになりませんよね。
会社でも同じようなことが言えます。
私は天才じゃないから何もできないと思うかもですが、そこまで難しいことでなくても大丈夫です。
例えば会社のある業務のマニュアルを課の誰よりも知っているとか、エクセル関数が得意だとか、それくらいのことが所属している課やグループ内で一番できる人になれれば良いです。
あなたが今関わっている業務でまずは1つ、誰にでも自信をもって説明できることをつくってみましょう。
驚くほどあなたの価値が上がります。
3.銀行以外の世界があることは忘れないで
今まではADHDが銀行で活躍するために必要なことをお話ししました。
仕事自体は大変だけど銀行が合っている、ずっと頑張りたい、と思っているあなたは工夫していけば必ず結果が出ますので、頑張ってください。
頑張ってきたけど、頑張ってみたけど、そもそも銀行が合わないと感じている方もいると思います。
そんなあなたは、銀行以外にも世界があることは絶対に忘れないでください。
銀行以外の世界があり、いつでも辞められることを理解しておくだけでも精神的にかなり楽になれます。
銀行はまだまだ内向きな世界なので社風に合わなくても自分がダメなんだと思い、病んでしまう人も多いです。
サラリーマンとしての昇給や出世を誇りに思っている人も多いので、そのような考えに合わない人もはみ出てしまいがちです。
私もそうでした。
私は満員電車に乗ったり接待をしたりといったことさえ嫌な社会不適合な考えでしたので、それらに意味が感じられず辞めてしまいましたが後悔はしていません。
自分に限界が来る前に世界を変えることは、逃げではありません。
あなたに合う世界は必ずあります。
一度きりの人生、別の世界に飛び込むという挑戦をしてみても良いのでないでしょうか。
以上、今回はADHDが銀行で活躍するために必要なことでした。
私は最終的には銀行を退職してしまいましたが、業務内容は厳しいものの営業で結果を出した時は楽しかったし、勤務形態等は非常にホワイトなので、安定を求める方には非常におすすめできます。
✔関連記事